今回の記事の内容
①身体の加速を感じる前庭覚というものがあります
②前庭覚=バランス感覚で三半規管と耳石器があります
③三半規管=回転・耳石器=直線の動きを感知します
④受け取った感覚を出力する為の3つの回路があります(目・姿勢・自立神経)
加速や身体の傾きを感じる不思議
鈴木です
今回は発達障がいを持つ児の感覚特性の中から、
バランスの感覚についての投稿をします
まず皆さんに質問を致します
デパートなどでエレベーターに乗った時に
外の世界は見えないのに、上下に動いている
事がわかるのはなぜでしょうか?不思議です
(上下のボタンを押したからわかるは無しとして)
同じように目を閉じたまま乗り物に乗った時
進んでいる事、左右に曲がる、回転している
事がわかるのも不思議です
ちなみにジェットコースターが苦手な人には
この感覚は疎い方がありがたいですね
これらの不思議を説明する上ではやはり
感覚の話をしなくてはなりません
その感覚の正体は平衡感覚です 馴染みのある
言い方だとバランス感覚になりますが
馴染みのない言い方だと前庭覚という
言い方をします
前庭覚を知ろう
前庭覚は揺れや回転や引力を受け取る感覚です
また立ったり座ったり、動きに対して体勢を変化させる
など姿勢のコントロールにも関わる感覚です
この前庭覚を受け取るセンサーとして三半規管
と耳石器という感覚器が耳の奥の方に存在します
①三半規管
「コーヒカップで三半規管やられた~」
などで使われるように有名な感覚器ですね
その通りで三半規管は回転の加速度を受け取ります
生活場面だと後ろを振り向いたり、寝返りをうつ
などの姿勢が変わる際にその動きの変化を感知します
②耳石器
三半規管が回転なのに対して耳石は直線の動きを感知します
頭の位置が前か後ろ、上か下かに変わったり移動した時です
(前述した目を閉じながら乗り物に乗っても動きがわかるのは
耳石器があるからですね)
耳の石と書く通り石ころのようなものが耳の奥でコロコロ
動くのを感覚として受け取る為に姿勢の変化を感じます
これらの感覚を受け取ることで私たちは立っている時
座っている時も姿勢を保つことが出来るのです
出力3つの回路
三半規管や耳石器とは感覚を受け取る場所でこれが
脳に信号として伝わります そしてこの信号を
身体に出力するための3つの回路があります
①目の回路 ~前庭-動眼系~
まずは目の運動に関する回路です
目で動くものを追うとき(追視)や物に注目するとき(注視)
に眼球の運動が生じます この運動が生じる基礎として
「クルクル回ると目が回る」という状態が起きることが大切です
この状態は眼振といって目の回路が反射したから起きるもので
目がブルブルと揺れますつまり目が回るという事は
しっかり眼振が起きていて、目の回路が繋がっているから
という証拠になるのです
②姿勢調節の回路 ~前庭‐脊髄系~
次は姿勢に関わる回路です 児童発達支援では姿勢に
関する相談も多くありますので大切な所かと思います
私たちは無意識的に姿勢の調整をしている事は説明
するまでもありません
目を閉じて片足立ちをしても身体の傾きを感じ、
倒れないように姿勢の調整が出来ます これは
先ほど説明した耳石が傾きに合わせて転がる事で
傾きを感じ取り、その情報が脳に入力されるからです
しかしこれだけでは姿勢を修正することは出来ないので
何かしらの出力をしなくてはなりません
そこで姿勢を調整する運動回路に情報を伝えて
「ここの筋肉の張って!」「ここの筋緩めて!」などの
情報を伝えて姿勢を保ちます これは全て無意識で行う
ことなので脳と筋と神経の連携プレーの見事さですね
ちなみに筋を張ったり緩めたりする事を筋緊張と言います
筋緊張は脳からの指令によって無意識的に変化するので
筋力のように鍛えてなんぼというわけにはいかないものです
③神経の回路 ~前庭‐自律神経系~
自律神経とは交感神経(ピンチの時に働く神経)と
副交感神経(リラックスの時に働く神経)の2つの働きです
全ての感覚につながりがありますが、前庭覚とは密な関りが
あり先ほど説明した「クルクル回る」状態が続くと目が回り
気持ち悪くなったり、吐き気や冷や汗が出たりします
これは自律神経の働きで回路が沢山の情報を処理出来なく
なりエラーが生じた状態と説明できます(車酔いとかも)
※オリラジ中田敦彦さんのYouTube大学で非常にわかりやすく
かつ面白く説明されていたのでそちらもご参照ください
【中田敦彦YouTube大学:自律神経①不眠や疲労感を根本的に解消するには】
→https://www.youtube.com/watch?v=ABpORnclGqc&t=1131s
沢山書いてしまいましたが、冒頭に書いてある事を押さえて
頂ければと思います
この出力回路がつまづく事で何が起きるのかはまた別の記事で
書きたいと思います 最後まで読んでくださりありがとうございました
では
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